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戸隠連峰/妙高山系スキー縦走 妙高編

11日間の戸隠/妙高スキー縦走 妙高山系編。戸隠連峰を越えていよいよ妙高山系へ。



7日目:停滞

乙妻山から滑降の翌日は1日停滞。外はしんしんと雪が降っている。シラビソの森の中は風もなく静か。残りの食料を確認したり地図を見たりしてのんびりと過ごす。


昼過ぎに降雪も少し落ち着いたので散歩がてら空身で下流を見に行く。雪は深くシールのまま歩行するが癒し系の森が続きとても心地よい。東俣川と西俣川の中間台地あたりまで来て引き返す。これで明日はトレースを使って滑りながら来れるだろう。

オオシラビソに囲まれた静かなテント場
オオシラビソに囲まれた静かなテント場


8日目:

4時起床。外を見るとまたしてもしんしんと雪が降っている。とりあえず朝食を食べて二度寝する。ちょっと寝過ぎたが8時出発。昨日のトレースを使って滑り降りる。新雪のせいで滑りは悪いがスムーズに昨日のポイントまでこれた。シールをつけニグロ川林道をしばらく進んだ。この頃から上空高いところから晴れ始めて1時間も歩くとすっかり快晴に。ブナの森に陽が射す。

林道中間あたりでこのあと目指す焼山、火打山がバッチリ見えた、5分ほど前に休憩したばかりだがつい足を止めザックを下ろし再び休憩に入る。

このエリアの最高峰/火打山 女王の風格
このエリアの最高峰/火打山 女王の風格

ここから見る火打山は両側に羽を広げたようで美しい。風が強そうでかなり雪が飛ばされていた。

林道を進み、いよいよ薬師岳への登り。はじめは沢を詰めて途中から尾根に乗る。天気がよくだいぶ雪が重くなっておりスキーにまとわりついて疲れた。稜線まで出ると左手から強風が吹き、ガスがかかり始めたので先を急ぐ。


薬師岳山頂の周囲はよく見渡せるがガスがかかり始め高い山は見えなくなった。シールを剥がし山頂から北東面を滑走。どこまでも滑って行きたくなる素晴らしい雪、このままボトムまで滑りたい気持ちをなんとか抑えてトラバースとシール歩行で北へと続く稜線に戻る。快適なテン場を見つけたので15時テントを張る。


天気予報では明日昼から明後日まで好天予報。明後日には下山出来るかな、と眠りにつく。




9日目:停滞

夜中は大雪で何度かテントを除雪した。朝も雪が降り続いているので朝食を食べてとりあえず二度寝。


ひと眠りして起きるが風がまだまだ残っており出発するか悩む、この感じだと天狗原山からの稜線は爆風なので明日に賭けることにして停滞にした。13時過ぎから一気に快晴になりシュラフを干したり、ブーツを干したりする。

貴重な太陽光
貴重な太陽光

ひと通り物が乾いたところで明日に向けこの先の稜線に不要な荷物の荷揚げとトレースをつけに行く。泡のような新雪が40-50cm積もっており荷は軽いのだが潜りまくり想像以上に苦戦した。

トレースを振り返る
トレースを振り返る

すっかり快晴に。
すっかり快晴に。
天狗原山までの最後の木に荷物をデポ
天狗原山までの最後の木に荷物をデポ
ラッセルを終え家に帰る
ラッセルを終え家に帰る





10日目:

静かな夜だった。夜は考えごとであまり眠れなかった。4時半起床。笹ヶ峰のライブカメラを見ると-19℃まで冷えている。6時15分発。外に出るとそこまで寒くなく安心した。


暗い中、昨日つけたトレースを黙々と歩く。6時49分岩菅山の肩から日が昇り、斜面を赤く染めあげていく。


昨日のトレースのおかげでスムーズにデポ地へ。パッキングをして休憩していよいよ天狗原山の急斜面を登る。斜度40°ほどあるので雪質が悪ければここは雪崩地形だ。前日から観察していて今回の雪質は問題なさそう。クラックをかわしながらトレースを伸ばす。モモまで潜る奮闘的なラッセルを楽しんだ。

天狗原山への急斜面。風下で雪が深い。
天狗原山への急斜面。風下で雪が深い。

稜線へ出ると一安心。ここからは妙高三山(頸城三山)が並んで素晴らしい。まさにこのエリアの盟主達だ。10年前の残雪期に来たのが懐かしい。

左から焼山、火打山、妙高山
左から焼山、火打山、妙高山

天狗原山山頂からはひと滑りして金山へ。クラストとシュカブラで滑りにくいがここはいつものことだ。金山の登りのラッセルもきつかった。金山山頂からもスキーで滑る。ここも同じく非常に滑りにくい。途中でシール歩行にチェンジ。金山から富士見峠までの雪庇はとても大きいが落ちるような雪庇ではない、ただし雪庇の付け根に大きなクラックが開くので注意する。アップダウンを繰り返して富士見峠へ。名の通り富士山が遥か彼方にそびえている。

富士見峠より富士山を望む
富士見峠より富士山を望む

富士見峠付近で休憩をとり、いよいよ焼山の登りへ。風で叩かれた西面をひたすら登り火口付近へ、そこまで来ると風が非常に強い、休めないのでそのまま進む。最後は雪面が氷になったので板を担いだ。


焼山山頂、風が強い、シールを剥がして滑走準備。火打山に向かって滑り込む。大斜面だが風に叩かれて非常に滑りにくい。最後の200mはボウル状の斜面を滑ったので良い雪が溜まっていた。

火打山へ
火打山へ

できれば真東の急斜面を標高差600mほど落とせばよいのだが重荷と体力と雪崩リスクを天秤にかけ今回は安牌に進んだ。


火打山へと登る稜線は急で細いのでシール歩行もキックターンを繰り返し疲れる。

焼山を振り返る
焼山を振り返る

2200mを越えたあたりからまたしても爆風、風下に向かって歩くのでまだよいが全く休めない。最後は雪面が氷になったので板を担ぎワカンで山頂へ。爆風なのですぐに滑走に入る。50cmほどのうねりのあるシュカブラでまともに滑れない、残雪期の穏やかな表情とは一転、厳冬期はとても手に負えない。

ようやく
ようやく
スムーズにターンができない
スムーズにターンができない

天狗の庭を経由して高谷池ヒュッテへ。ここまで来れば安心だ。高谷池ヒュッテの3階は冬季避難小屋として開放されておりこのエリアの大きな財産だ。利用する場合は一人一泊1000円の料金と小屋の下方のシラビソ林でのトイレのルールをしっかり守ってほしい。15人ほどが快適に泊まれるが混雑時は山を愉しむ人同士思い合い、協力して使ってほしい。そうして山の話に盛り上がれば素晴らしい体験になるはずだ。

10日ぶりに人と話した
10日ぶりに人と話した

この日は顔なじみの方と外国人が数人。それぞれ山の話に盛り上がる。





11日目:

月が煌々と輝き良い夜だった。朝、窓を明け朝日に染まる火打山をじっくり眺める。この時間がとても好きだ。小屋の先輩方も時間がある時はこうして過ごしていた。良い雪を滑ろうと焦る必要はない、どこへ行こうとよい体験が待っている。

ここからの景色は飽きない
ここからの景色は飽きない

最終日は妙高山に登って赤倉まで滑り込もうと思う。9時半発、まずは茶臼山に登る。通い慣れた道を進み茶臼山から黒沢池へ滑り込む。メローな斜面を大きく気持ちよく滑る。


黒沢池でシールを付けて大倉乗越へ。大倉乗越からは斜面を偵察したくていろいろとのぞき込む。

杉ノ原からのルートは今まで見たことないほどシュプールが入っておりまるでゲレンデだ。


決めたラインに自分だけのシュプールをつける、荷物が重く緊張感があったが無事滑りきって振り返る。自分だけのシュプールはいつでも気持ち良い。

御釜の中からは妙高山へ向けてシールで標高差350mほどのぐんぐんと高度を上げる。途中、右手から来た外国人ガイドのトレースに追いつく、迷いなくとてもセンスの良いライン取り。普段から山を歩き、ゲストを連れている人のライン取りは美しくすぐに分かる。

稜線に出たところで挨拶を交わす。滑降ラインのアドバイスをして自分は妙高山最高点へ、ついに歩ききった。

妙高山山頂、火打、焼山
妙高山山頂、火打、焼山

妙高山山頂からはまだ滑ったことがなかったラインへ。エントリーが少し複雑なのでここには誰のシュプールもない。斜度がきついので始めはアイゼンで50mほどクライムダウンして板をはいた。無事に帰ろう。そう思って滑降開始、斜度50°ほどだろうか荷物が重いせいでそう感じる。タイミングをはかりターンを繰り返す。

丁寧に降りた
丁寧に降りた

途中喉がカラカラだった。中間からは斜度が落ち、これで生きて帰れるなと思った。あとは思う存分パウダーを楽しむ。谷底で他のトラックに合流し山頂からのラインを振り返る。

あとはトレースをたどり関見トンネルをくぐり赤倉へ。職場でもある赤倉観光のパトロールに挨拶をする。のんびりと談話した。

日常に戻ってきた
日常に戻ってきた


やりきった。

11日間山に向き合った奮闘的な山行だった。戸隠/妙高稜線をスキー繋いで、この先一生をかけてでも滑りきれない斜面をみてきた。このエリアをガイドできる事を誇りに思う。これからも少しずつそこに足を踏みれていきたい。


渋沢 暉

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