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戸隠連峰/妙高山系スキー縦走 戸隠編

 戸隠連峰と妙高山系一帯は稜線で全て繋がっている。いつかその稜線をスキーで繋いで歩きたいと思っていた。


 このエリアは10年前に上信越高原国立公園から妙高戸隠連山国立公園という新しいネーミングで周辺の山々一帯も含めて独立した国立公園になった。名前が変わっただけで山々は変わりないがこのエリアの独自性が際立ち誇らしい。


2026/1/26-2/5の

11日間のスキー縦走を振り返りたいと思う。

まずは6日間の戸隠連峰編

一夜山から続く戸隠連峰
一夜山から続く戸隠連峰


初日:

夕方に友人に麓の鬼無里(きなさ)まで送ってもらい冷沢の林道を上がる。戸隠連峰は南端一夜山から始まる。鬼が一夜で創り上げたと言う伝説がある。途中、月が出ると暗闇に戸隠連峰が不気味に輝いた。

出発地点の財又集落
出発地点の財又集落

3時間ほど黙々と夜道を歩き林道終点の一夜山登山口でテント泊、夏はここが登山口駐車場になっている。夜は晴れてとても冷えた。

一夜山のベース
一夜山のベース

2日目:

暗いうちに出発して軽装で一夜山山頂に。明るくなるまで山頂でコーヒーを飲んだりお菓子を食べてのんびり過ごす。焦って進む必要はない。この山域にどっぷりと向き合い浸ろう。

一夜山山頂。鬼女紅葉の石碑
一夜山山頂。鬼女紅葉の石碑

日の出は見れなかったが遠くに焼山、火打山がうっすらと見えた。この先どうなるだろうか。

遠くにうっすらと焼山、火打山
遠くにうっすらと焼山、火打山

一夜山北面をスキー滑走してテントに戻り身支度をしてまた戸隠稜線へと戻る。8時過ぎに再出発。陽も昇り暖かい。

フル装備で30kgほど
フル装備で30kgほど

1512mからは尾根が急に細くなりシール歩行ができないのでワカンに。結果的に戸隠連峰はワカン2割スキー8割くらいで歩いただろうか、ワカンはピンポイントで非常に有効、スキーシールだけだと必ず無理をして突破しようとしてしまうのでワカンは必須だ。

山行中何回切り替えたか数え切れない。
山行中何回切り替えたか数え切れない。

 これで足元はいいのだが背負ったスキーが枝に引っかかりまくり歩きにくい。大変だがそんなことは想定内なので頑張ってこなしながら進む、ここから先は右手斜面は断崖が続く失敗は許されない。

雪庇の先を覗く
雪庇の先を覗く

2時間ほどで1661mへ。ここはほっとできる山頂。ここからはシール歩きで穏やかな地形に癒される、1779岩峰手前の岩陰で泊まる。夜は風が吹き荒れていた。


3日目:

朝方は冷え込み何度も起きた。強い寒波が来ている。8時出発、すぐに1779m岩峰。見た目から悪そうなので空身で登りロープをfixしてから戻りザックを持って登り返す。1p15m ほど。

1779岩峰の登り
1779岩峰の登り

その後はP5(第三峰、稜線上のピーク)に向けてシールで快適に登る。手前は素晴らしいダケカンバの疎林、ほとんど人が来ない手つかずの森で秘境感がある。時折、青空が広がり、樹氷が輝いた。

神秘的な輝き
神秘的な輝き
P5付近から一夜山を振り返る
P5付近から一夜山を振り返る

P5直下は急だったがキックターンを繰り返してシールのままなんとか頂上に立てた。


 ここからはいよいよ核心部。核心部は長く本院岳付近まで続いた。


 P4は左からシールのまま巻けそうだったので進むが急になったので岩棚でワカンに切り替え、小ルンゼを直登してピークへ。下降は変にトラバースしてしまったが振り返ると真っ直ぐ下りれそうだった。

 P3の下りは悪い。懸垂2p、15mと25mで灌木を掘り出し捨て縄を使った。コル右手の沢はとても快適そうな斜面だった。

 コルからすぐにP2への急な登り、キノコ雪をくずしながらロープfixして30m1p。P2の頂上に立つとおだやか。少しだけ進みP1手前で泊まる。夜、明るいなと思ってテントを開けると月明かりに西岳が輝いていた。

西岳を望む
西岳を望む

4日目:

夜は寒かった。テント内は常に-10℃前後そしてシュラフが濡れてきた。

8時出発、すぐにP1だが地図で想像していたより悪い登りで空身で登りロープ30mfix、ザックを回収しマイトラ(アッセンダー)で登り返す。

8時40分ごろP1到着。この先見える雪庇は大きく円盤状に張り出しており見るからに嫌らしい。西岳はすぐ近くに見えるが遠い。シールとワカンを何度も履き替えて西岳へ。

2053m西岳山頂
2053m西岳山頂

山頂からスキー滑降するがすぐに行き詰まる。ワンチャン西岳キレットをスキー滑降出来るかなと思っていたが全然無理だった。


コルへ向けて先の見えない断崖の細リッジが続く、スキーを脱いで空身と懸垂で様子を見る。25m×2pでギリギリコルへ降り立つ。右手には西岳本谷(西岳沢?)が迫力ある。ここは夏に詰め上がったことがあるが大きな滝もなかったので今度スキー滑降してみたい。

西岳を振り返る。スキーはできない。
西岳を振り返る。スキーはできない。

コルから先も嫌らしいリッジクライミングでキノコ雪をくずしながら進む。

本院岳を望む。右手に落ちれば終わり
本院岳を望む。右手に落ちれば終わり

このあとようやくひと滑りして本院岳直下へ。このあたりからかなり吹雪いてきた。本院岳は13時着、その後は2030mピークへシールのまま登る。時間は少し早いがピーク付近に良いテン場があって進むか迷うが、身体が勝手に整地し始めてそれに従う。ここで泊まる。

バーナーを付けシュラフを乾かすが油断して少し焦がした。ダウンが出てくるので慌てて修理した。


5日目:

夜は爆風で大荒れ。この日は終日吹雪きつづけた。8時出発、ここから標高差300mほどの滑走なのでシールを剥がして滑り始めるが新雪が風に叩かれまくってとても滑りにくい。表面だけパックされていて滑っても踏み抜いてしまい板が潜る。急斜面では雪崩まくり気をつけて滑る。

八方睨までの稜線、ずっと左手側から爆風。
八方睨までの稜線、ずっと左手側から爆風。

八方睨まではほとんどシール歩行可。とにかく風が強いのでゴーグルのまま進んだ。八方睨直下は急なのでワカンに切り替えて50mほど直登する。ここはかなりきつかった。

八方睨の傾いた岩はカエルみたい。
八方睨の傾いた岩はカエルみたい。
八方睨頂上。晴れていればまさに八方睨みなのだが、
八方睨頂上。晴れていればまさに八方睨みなのだが、

八方睨も地吹雪がひどいがなんとか風下を見つけ少し休憩。足が冷えすぎたのでブーツを脱ぎ素手で温める。その先は戸隠山までワカンのままラッセルして進む。雪は深く潜りきつかった。戸隠山から先はシール歩行。ルート取りは複雑に見えたが意外と歩けて九頭竜山頂上へ。標識が見当たらなかったが一番高いところに立つ。稜線はずっーと風が強く嫌になったので今日は谷底近くまで降りて泊まることにする。九頭竜山から左手の裾花川源頭に滑り込む。こんな柔軟さもスキー山行の魅力だ。稜線を歩くだけでなく斜面見いだしそれを繋ぐライン取りがとても楽しい。

森の中のテント場
森の中のテント場

雪は滑りにくかったが標高差300mちょっと滑り、快適な森の中にテントを張った、電波の無い静かな森に陽も少し射しホッとする。この安心感は人間の根源的な感覚なのだと思う。

昔の人が山の形や大木を人に例えて名前をつけたりする感覚は彼らが自然と深い繋がりがあり尊敬と畏怖の念があったからだと思う。このエリアにもたくさんのそういう物がある。

テントの中で癒される。
テントの中で癒される。

夜はまた風が唸るように吹いていた。



6日目:

今日は日中は風が収まり晴れる予報。8時出発、シールを付けて一不動に登り返す。ある程度風は落ち着くかなと思っていたが一不動は爆風。風が強すぎて稜線上は地面がむき出しだった。普段から風が集束するので強いのだろうが今日はかなり強く寒い。体感は-25℃以下。

爆風が吹き荒れる
爆風が吹き荒れる

 ここからはワカンに履き替えて五地蔵山に向かってひたすら進む。左手から容赦なく風が吹き付け足がとても冷たい。風下に入りたいのだが雪庇が張り出しておりどこも休めない。進むしかない。ここは夏によく歩くところなので面白みがない。ひたすら歩いて五地蔵山到着。

週末なので五地蔵山から高妻山にトレースがあるかなとも思ったがまっさらだった。これでよい、進むだけ。

戸隠連峰最高峰/高妻山
戸隠連峰最高峰/高妻山

ここからはシールで快適に進む。八観音手間で急に風が収まる。ようやくのんびりと休憩。高妻山の最後の登りは雪が深くとてもきつかった。気合のキックターンで乗り切る。雪のコンディションが悪ければ斜面全体が雪崩れることもある。ライン取りには気を使った。シールのまま高妻山山頂へ。

高妻山から戸隠連峰北端の女王/乙妻山を望む
高妻山から戸隠連峰北端の女王/乙妻山を望む

先に進む、山頂から先は一部切れ落ちておりシールでは歩けないのでスキーダウンしてから再度シールで歩く。乙妻山までは緩くアップダウンしており雪面もかなり硬いので気をつけながら歩く。

16時10分ついに戸隠連峰北端の乙妻山。

気温は低く風も吹き荒れ寒いが文句なしの青空が迎えてくれた。この山は夏も冬も美しい、百名山高妻山の陰に隠れているが夏にぜひ来てみてほしい。高妻山の喧騒が嘘のように優雅で別天地である。


すぐに滑走準備を始める。真北の東大門沢は滑ったことがあったので北西の西大門沢左俣に滑り込む。山頂からひと滑りしてのぞき込むと下まで行けそう。雪質は案の定ハードでとても滑りにくいが気合のエッジングで乗り切る。知らないところはワクワクする、誰もいない静かなところに1人向き合うのが好きだ。

核心部を抜け振り返る。
核心部を抜け振り返る。

1950mあたりからはマシな雪質になったが今度は異常に潜り下りラッセル。二俣1700mからシール歩行して1600mのシラビソ林で泊まる。電波なく素晴らしい森。これでよい。

テントを張ると17時半、山陰から煌々と月が昇る。


戸隠連峰南端から北端まで無事歩ききった。

体力的、精神的に削られたが賭けで歩ききった訳ではない、ひとつひとつ丁寧にやった結果だと思う。



妙高山系編へつづく。

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